管理会社って?間違いやすいマンションに関わる登場人物を知る
あなたがいう「管理会社」は本当に管理会社ですか?
マンションの仕組みは見る立場によって全く違います。正しい登場人物を知ることがマンション管理を正しく知る最短の方法です。
そもそもマンションの定義って?
マンションに関わる人を説明する前に、そもそもマンションの定義について正しくご存知ですか?
鉄筋コンクリート造だとマンションで、木造2階建てだとアパートとかいう人もいますが全く違います。
区分所有法でいうマンション(区分建物)にはしっかりした定義があります。
第一条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。
建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)
簡単にいうと、ひとつの建物をきちんと分けて、複数の所有者が所有権を持っている状態がマンションです。
なので、ひとつの建物をしっかり2区分に分けて所有者が別であればマンションです。
逆に、地上30階の500戸の集合住宅でも1所有者の物件であればマンションではありません。アパートとは言いづらいですが・・・。
5階建て25戸のマンションで所有者は全て別、全て賃貸に出されているような投資型マンション。これもマンションの条件を満たしているので、法律的に問題なくマンションです。
ちなみにマンションには管理組合が必ず存在します。これは実際に運用されているかどうかは別として法律的に存在しているという意味です。
「管理会社」にもいろいろある
管理業務委託会社
マンション管理において通常、管理会社というのは、正確には「管理業務委託会社」のことです。委託する業務は「事務管理業務」「管理員業務」「清掃業務」「建物・設備管理業務」などです。
委託なので、本来はこの業務は自分たち、つまり管理組合で行う業務です。ただ、みなさん通常のお仕事や生活があるのでなかなか難しいので専門の会社に委託しているんです。
管理業務委託会社の担当者をフロントマンと呼びます。フロントマンはマンションの問題に日々対処しており、非常に激務です。
多いところでは一人のフロントマンで20棟近くのマンションを担当されている方もおり、人材不足が問題にもなっています。
管理業務を委託しないことを「自主管理」といいます。全ての管理業務は大きな負担になるので、部分的に業務を委託して、部分的に自主管理することも多くあります。
自主管理をサポートするこんなアプリもあります。関連記事はこちら→アプリで自主管理。KURASEL(クラセル)がスゴイ!
賃貸管理会社
マンション管理士に相談される際、これと間違うことがかなり多い。
分譲マンションを購入し、転勤などで住めなくなり、一時的に賃貸に出す場合がよくあります。不動産を賃貸に出す場合、ほとんどの方は不動産会社にお願いし、媒介契約を結びます。めでたく賃借人が見つかればそれで媒介契約は終わりです。
しかし、賃貸に出すと様々な手間がかかります。
- 家賃の請求、入金確認
- 設備の管理、修繕
- 退去時の立ち会い、精算 などなど
これを全て大家さんとなった区分所有者でやることは結構大変です。
そこで、賃貸仲介を行った不動産会社がそのまま賃貸管理会社となって物件の管理を請負い、一定の手数料で業務を代行してくれるサービスがあります。
物件を借りている賃借人は困ったことがあれば賃貸管理会社に相談します。ただ、賃貸管理会社はあくまで、上に書かれたような賃貸管理の業務しか請け負っていません。管理組合とのやりとりはあくまで管理組合員である区分所有者になんです。
設備管理会社、防災管理会社など
他にも、マンションの規模によっては、様々な管理を専門の会社に委託していたり、管理業務委託会社から専門会社に再委託されている場合もあります。
設備関連は設備管理会社、防災設備は防災管理会社、他にもエレベータの専門家入会社、機械式駐車場の管理会社など管理をしている会社は全て管理会社と呼ばれたりします。
ただ、マンションについての問題はまずは管理業務委託会社に相談してみて、対応方法を確認することが解決の近道です。
「管理組合」って誰のこと?
管理組合とか区分所有者とか住人とかいろいろ呼ばれることが多いですが、明確に定義があります。
区分所有者=管理組合員=物件の所有者の全員のことです。
マンションのルールや方針の全ては最高決定機関と言われる管理組合総会で決めれられます。
管理組合員は株式会社でいうところの「株主」です。管理組合総会は「株主総会」です。
ちなみに、住人というと、そこには区分所有者の家族や同居人、賃貸で借りている賃借人も含まれます。これらの人は管理組合員ではなく、当然管理組合総会での議決権はありません。
管理組合員の議決権はマンションの将来を決める大切な1票なんです。
「管理人」と呼ばれる人
マンションの管理員室で業務を行い、マンションの住人のお世話をしてくれる方、素敵な管理人さんが出てくる下宿が舞台の漫画の影響か、「管理人さん」と呼ばれることが多いですが、正確には「管理員」といいます。
この方は、マンションの管理業務委託会社の従業員もしくは、管理業務委託会社から派遣された社員で指揮命令系統は管理業務委託会社にあります。
管理業務委託会社との「管理委託契約書」には明確に管理員の勤務内容に定めがされており、これに準じて管理員は業務を行います。
みなさんの最も身近で仕事をしてくれるかたなので、困ったときには相談したりしてしまいがちですが、管理員の対応できる業務範囲は限られています。困った際は、管理業務委託会社の担当者(フロントマン)や掲示板に掲示された連絡先、もしくは目安箱やアンケートボックスなどを通じて理事会に相談しましょう。
あと、マンション管理士は管理人の資格ではありません。
「理事長」の仕事
マンションの最高権力者、理事長。
そう勘違いされている方が非常に多いです。
株式会社の代表取締役社長や財団などの理事長のように、組織のトップという印象ですが、実はマンションの理事長は全く違います。
大きく違うのは議決権の数。
株式会社の場合、代表取締役社長が過半数の株を自身で持つかコントロールできる立場になることが多く、それにより権限を持つことがあります。
一方、マンションの理事長の持つ議決権は、一般の組合員と同じ1票のみ。マンションを決める権限は全くないんです。
では理事長の仕事って何?
理事長の仕事は主に3つ。
- 管理組合を代表して訴訟の原告になれる
- 災害などの緊急時に対応ができる
- 工事などの契約時に契約者になれる
なんだかめんどくさいことばかりに見えませんか・・・。
もちろん理事会をしっかり取り仕切るリーダーとなることも可能です。しかし、法律的にはあくまでマンションは管理組合全員で物事を決めることが原則です。
管理組合が自ら率先して、マンション運営に参加し、みんなで良くしていこうという環境づくり、これがマンションの理事長に求めれられる本当の仕事ではないでしょうか。
まとめ
マンションに関わる登場人物について、みなさんのイメージはいかがでしたか?
マンションの問題を解決する際、まずは登場人物をしっかりと整理して、誰に相談すべきかを間違えないことが重要です。
マンションのかたちは多種多様のため、実は他にも様々な登場人物が存在します。
うちのマンションのこの人はどういう立ち位置なんだろう?
こんな質問でもよろしいので、気になりましたらお気軽にお問い合わせください。