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マンション管理相談室

マンション管理の知識

マンション管理士とは

マンション管理士は国家資格

名前からして、マンションの管理人さんの資格?と言われることが多いこの資格。国土交通省が認定するれっきとした国家資格なんです。

専門知識をもってマンション管理組合の運営、大規模修繕等を含む建物構造上の技術的問題、その他マンションの維持・管理に関して、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者などの相談に応じ、適切な助言や指導、援助等のコンサルティング業務を行う。マンション管理のスペシャリストとして、主に管理組合の立場でマンション管理に関する様々な問題の解決をサポートします。

マンション管理士になるには、年1回実施されるマンション管理士試験に合格すればなれます。ただ、この試験は区分所有法や標準管理規約、マンション設備関連のかなり難関な問題ばかりで合格率は平均9%です。

他の資格と何が違う?

弁護士」・・・訴訟や裁判の弁護を担当する法律の専門家
司法書士」・・・不動産登記を独占業務で行う専門家
宅地建物取引士」・・・不動産取引の際、重要事項説明を独占業務で行う専門家
一級建築士」・・・建築請負契約の際、重要事項説明を独占業務で行う専門家
管理業務主任者」・・・マンションの管理会社が管理業務委託契約書の重要事項説明を独占業務で行う

では、マンション管理士は?
マンション管理士には独占業務はありません。マンション管理士と名乗ることができるのが「マンション管理士」なんです。
マンションに関する膨大な知識を有し、管理組合の立場にたって意見することができる唯一の専門家。それがマンション管理士です。

弁護士でも、遺産相続に強い弁護士、法人に強い弁護士、離婚協議に強い弁護士など弱み強みはありますよね。

マンション管理士は他のどの資格者よりもマンション管理に強いんです。マンションについてのご相談は必ずマンション管理士にご相談ください。

ちなみに、「マンションコンサルタント」はマンション管理士でなくても名乗っても違法ではありません。ご注意ください!

※マンション管理士のうち85.2%は管理業務主任者、77・8%が宅地建物取引士の有資格者です。(公益財団法人マンション管理センター調べ)

マンション管理士試験

マンション管理士の試験では、次の内容が問われます。

1)マンションの管理に関する法令及び実務に関すること建物の区分所有等に関する法律、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法、マンションの建替え等の円滑化に関する法律、民法(取引、契約等マンション管理に関するもの)、不動産登記法、マンション標準管理規約、マンション標準管理委託契約書、マンションの管理に関するその他の法律(建築基準法、都市計画法、消防法、住宅の品質確保の促進等に関する法律等) 等
(2)管理組合の運営の円滑化に関すること管理組合の組織と運営(集会の運営等)、管理組合の業務と役割(役員、理事会の役割等)、管理組合の苦情対応と対策、管理組合の訴訟と判例、管理組合の会計 等
(3)マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関することマンションの構造・設備、長期修繕計画、建物・設備の診断、大規模修繕 等
(4)マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関することマンションの管理の適正化の推進に関する法律、マンション管理適正化指針 等

まさにマンション管理に関する法律や知識全てです。

試験は年に1回。11月に実施されます。

ちなみに令和元年の試験では、12,021名が受験し、991名が合格しました。
合格率にして8.2%とかなりの狭き門となっています。

同様の不動産関連の試験では、
令和元年の宅地建物取引士試験が17%、管理業務主任者が23.2%から考えると異常な難易度です。

これには理由があります。
宅建士や管理業務主任者はそれぞれ独占業務である重要事項説明書の説明という、非常にわかりやすい仕事があります。

これに対し、マンション管理士はマンションコンサルタントの専門家という、非常に幅広い知識と、管理組合の一生を左右すると言っても過言でない内容を取り扱います。
内容によっては、弁護士や税理士でも対応が難しい相談にも対応しなければならない重要な仕事です。

さらに、マンションブームから30~40年が経過し、マンションを取り巻く環境は複雑難解化しています。
マンション管理士には相当なレベルの知識や対応力が求められているんです。

とは言っても、マンション運営の主役は区分所有者(管理組合)です。
理事や委員会を経験し、マンション運営に興味を持たれた方が、マンション管理士を受験されることも増えてきています。

自信の資産を守り、より良い暮らしを維持するためにもマンション管理士試験にチャレンジすることは、マンション管理士としても強くおすすめします。

マンション管理士の試験問題をひとつ掲載しておきます。

令和元年度マンション管理士試験問題

〔問 5〕 一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(この問いにおいて「一部共用部分」という。)の管理に関する次のマンション管理士の説明のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。


1 .一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するものは、一部共用部分を共用する一部の区分所有者だけで行うことはできません。

2 .一部共用部分の管理は、区分所有者全員の規約に定めがあるものを除き、これを共用すべき区分所有者のみで行うことになります。

3 .すべての一部共用部分について、その管理のすべてを区分所有者全員で行う場合には、一部の区分所有者のみで構成される区分所有法第3条に規定される区分所有者の団体は存在しないことになります。

4 .一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときは、することができません。

一部共用部分っていうのは、例えばマンションの1階が店舗とかの場合です。
店舗スペースのみのエントランスなどは共用部分ですが、店舗の区分所有者しか使いません。なので、一部共用部分の管理は店舗部分の管理組合を形成して行います。
しかし、店舗スペースが全体に影響する、例えばマンションの外観に大きく影響を与える改修などは店舗区分所有者だけでは決めることはできません。

なので、1は正しい。

店舗部分の管理も全て、全体の管理組合で管理する、ということもできます。
その場合は、店舗部分の管理組合(区分所有法第3条に規定される区分所有者の団体)は形成されません。

なので、3は正しい。

マンションの規約変更は特別決議事項です。規約にある店舗部分のことを変更するという議案についても基本は同じですが、店舗区分所有者の反対があるのに決議されると困るお店が出てきます。
そのため、店舗部分の4分の1を超える人が反対すると変更できないということになっています。しかし、それがマンション全体に影響がある事項であれば例外となります。

なので、4は正しい。

区分所有法16条では、
一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は区分所有者全員の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。

と定められています。つまり、店舗部分の管理は、通常は店舗区分所有者だけで管理するんだけど、マンション全体に影響があったり、全体の規約に定められたことは全体の管理組合で管理しなさいよ、ということです。
問題文では「区分所有者全員の利害に関係するもの」というのが抜けているので、

2は誤りとなり正解です。

マンション管理士では、こういった細かい知識を問う問題がたくさん出てきます。
マンションは法律や文化が深く入り組んだ日本独自の生活様式です。

この問題を正しく解決できるよう、マンション管理士という資格が日本には存在しているんです。

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